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とりあえず毎日本を読んでいるので、そろそろ脳内と本棚を整理してみようというココロミ。

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黒い雨

黒い雨 (新潮文庫)黒い雨 (新潮文庫)
井伏 鱒二

新潮社 1970-06-25
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原子爆弾投下後は、炸裂時のさまざまな物質と
多量の放射能を含んだ「黒い雨」が降る。
重油のような粘り気のあるこの雨は
爆心地では1時間以上も降り続いたという──

原爆小説の代表作として知られる井伏鱒二のこの作品は
実際に被ばくした重松静馬氏の日記を元に書かれている。
こちらは2001年に出版され、読んでみたいのだが
値段が4~5倍に上がっており、ちょっと手が出ない。

重松日記重松日記
重松 静馬

筑摩書房 2001-05
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井伏が重松氏の日記を「リライト」していることには
様々な世論があるらしいが、原作を目にしていないので何とも言えない。
ただこうして爆撃と直後の様子を克明に描いた記録が読めることは
「戦争を知らない世代」には貴重である。



終戦から数年、重松は姪のことで心を悩ませていた。
縁談が降っては、駄目になってしまうのだ。
姪が原爆病だ、という噂のために。
重松は爆心地から比較的近い場所で負傷し、原爆病を患った。
だが姪は10キロ以上離れた場所にいたのだ。

そのことを立証するためにも、重松は当時書きつけた記録を
改めて「清書」することを決める。
墨をしたためた筆先からあの日の凄惨な風景が蘇る。

家族を、家を、そして逃げる場所を探して、黒い雨の中
重松は力の入らない身体を叱咤して、市内をひたすら歩く。
一瞬で周囲をつんざいた閃光と、全てをなぎ倒した爆風の後には
轟々と燃え上がる炎と、見るも無残な死屍が累々と折り重なる。
読んでいる文字の間からも、腐臭が立ち込める。

そんな中で重松は妻、姪とも落ち合う。
後日親戚や姪の両親も尋ねて来て、無事を喜ぶ。
他集落からも、人探しや救護の人員がかけつける。
が、それらが現代の読者たちの胸を突く。
言わずもがな、この爆撃で受けた「傷」は8月6日で終わらないからだ。

ストーリーとしては完成されていないかもしれない、と思う。
だが戦争という問題は、未だ完結を迎えてない。
ならばこれは正しい。

別の感慨になるかもしれないが、
この小説がほぼ重松氏の日記から抜粋したものだとしたら
戦争への個人的な思いが描かれていないことが気になる。
「記録」に徹して書かれたものだったのか、その余裕がなかったのか。

それとも

憤りをぶつけることが躊躇われたが故の結果だったのか。
余りにやり場のない感情が、淡々とした「記録」にしか成り得なかったのか。
克明な記録と、それを埋める場所がないぽっかりとした穴が
読後も胸の奥に深く根ざす。
だから、正しいと思う。

私達は戦争を知らない。
だが生まれた時から、戦争を否定しても罰されない環境にある。
戦争体験者たちが埋められなかったその穴を
知り、考え、未来へ繋ぐことが出来る。

はだしのゲンなどの閲覧禁止問題などを読むと
「見たくない・読ませたくない」という言い分も分かる。
特に映像・画像関係は大人になった自分が今見ても、非常に衝撃がある。
だが画像や映像でなくとも、戦争を語ったものはある。
遺体や裂傷でなくとも、戦争が生んだ貧しさや犠牲、権力や狂気は
語り継いでいくべき負の遺産ではないだろうか。

なにより恐ろしい結末は、「忘れ去られた」物語となることだ。
戦後70年という節目であり、8月という時期でなくともいい。
「知るべきだ」と思ったときに、知ってほしいと思う。

個人評価:★★★★

【参考 原爆の威力】
爆発時の中心地の温度は100万度以上、周辺の温度は3000度を超えた。
瞬間数十万気圧の力を生み、爆風は秒速440mに達した。
※台風は秒速32.7m以上で台風と呼ばれる
爆心地から半径1.2㎞以内は(無遮蔽の状態で)致命的熱傷に至る。

が、これは70年前の威力であり、今現在の威力と世界の核保有数を考えると恐ろしい。



前回の続き。ぬこは花火を見られない。









怖がっている様子はないが、とにかく音が気になるらしい。




夏らしい話。(大概にせぇよ)

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