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わが母の記

わが母の記 (講談社文庫)わが母の記 (講談社文庫)
井上 靖

講談社 2012-03-15
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井上靖と言えば、国語の教科書に載っていた
「しろばんば」を思い出す人も多いのではないか。
※世代的な差があるかもしれない・笑

「しろばんば」が井上靖の自伝的三部作の1つと知ったのは、随分後だ。
いまだ他の二作品は未読であるが
「わが母の記」は言ってみればスピンオフか番外編のようなものだ。
青春時代を綴った三部作よりずっと後、
老いて毀(こわ・原文ママ)れていく母を見つめる半エッセイ小説となる。

少し井上靖の生い立ちに触れねばなるまい。
「しろばんば」の洪作少年(=井上靖)は
祖父の妾であった「おぬい婆さん」の手で育てられ、
母や家族と縁の薄い幼少時代を送っている。
井上靖が「かの」という祖父の妾のもとで育ったことを反映しているそうだ。

その所為なのか、井上靖が母を見る視点は恐ろしく冷静だ。
「花の下」「月の光」「雪の面」と3つに分けられた章は
それぞれ母が80才、85才、そして90才間際に逝去するまでの日々と
いわゆる「認知症」が進行していく様子を綴っている。

最初は何度も同じ話を繰り返すくらいだったのが
昔のことばかりを話すようになり、数分前の会話を綺麗に忘れてしまう。
娘たちを「おばあさん」「お手伝いさん」と思い、
遂には井上自身を「三日前に死んだ」と思うようになっても
「これはどういうことだろう」「母は何を考えているのだろう」と
井上靖はただじっと考え続けるのだ。

実際に母を見るのは姉や妹であり、妻や娘だから
単純な外から目線と言えばその通りなのだが
ただ母の行動を考え続けている姿は
不思議と何か、読み入ってしまうものがあった。

余程若い世代でなければ、どこかで認知症との接点はあるだろう。
自分の両親はまだその域に達していないが
亡くなった祖父母やまだ健在のばーちゃんは
時々その曖昧な記憶世界に居た。

うちのばーちゃんは、若い頃に離婚している。
じーさんがブっ飛んだ人だったので、耐えられなかったのだろう。(笑)
ロクな思い出はない筈だが、以前に見舞いに行ったときに
ばーちゃんは何故かじーさんが若い頃のノロケ話などを繰り返した。

おかんなどは「そんな話せんとき」と眉を顰めるのだが
自分はちょっと不思議な思いでばーちゃんの話を聞いていた。
痴呆は無論、介護側には大変な労苦だが
本人の辛さや憎悪を剥いでいく面もあるのかもしれない。
そのついでに、子や孫のことも忘れてしまうのだろう。

ただ補足しておくと、ばーちゃんは時々曖昧世界にいくだけで
大体はコチラの世界で、ブツクサ文句を言っている。
丁度、本書の最初の章くらいの姿だろうか。
ならばーちゃんの世界はいずれ楽しかったものだけで繋がっていき、
中年になった孫(笑)など除去されてしまうかもしれない。

本書は妙に感動をつけ足したり、誇張するようなことがない。
だから思う。
これは死によって絆が切れることではなく
記憶の上で絆が切れることに、ずっと心の準備をしていた
「息子の記」だったのだろうと。

この時代には「介護」「認知症」という言葉が無い。
「病」ではない「親の変化」として
井上靖は義務のようにそれを観察している。
冒頭で井上靖は、父の死に関して
「父の存在は子供にとって、死という具象への砦なのだと気が付いた」
「なら母が死ぬとき、それは今とはまた違った風通しの良さで
 私の前に立ちはだかって来るだろう」と語っている。

感動というものはない。
だが淡々とし過ぎているほどのラストは
いつかの「その時」への不思議な共感を胸に残す。

個人評価:★★★★


そんな話の後のばーちゃんネタ。





ちなみにケガはなかったのでご心配なく。



が、ここでばーちゃんの苦しむ姿から
そのバーサンにある記憶がよみがえったらしく。



「わが母の記」にも井上靖の母親が女性に対して
結婚したか出産したかということにのみ興味が高いと書いている箇所があり
なんか深いか笑わせたいんかと。



その後、妹と割とシリアスな話をしつつどうしても
「出産やーーー!!!!」のバーサンが脳内を駆け巡る。

はる「すまん。じわじわキて話に集中できん」
妹 「さもあらん。私もしばらく立てんかった」

ということで許してくれた。
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