もう、読んでいてずっとわくわくした。
冒険譚でもなければミステリーでもないのに
なにがこんなに心が踊らせたのだろう?
どこの国ともいつの時代とも知れない商店街は
繁盛するでもなく、シャッター街でもない。
店主たちの日常はごく当たり前に仕事場と共にあり、
息をするように店を開け、ベッドに入るように店を閉める。
その繰り返しの語りがあまりにもつぶさで
もう1人の自分がそこで暮らしていて
その空気を何年も知っているかのように錯覚する。
配達屋をしているという主人公の後ろにくっついて
通りや路地裏を走り回り、背伸びして窓から店内を覗いているような。
ほら、君ものぞいて御覧よ。
「衣裳係さん」はレース屋さんのお得意さんだ。
ショールやブラウスの端についていた古レースばかりを売ってるお店でね。
衣裳係さんはアレを使って、もう舞台に立たない衣裳を作ってるんだよ。
「百科事典少女」はね、配達屋さんのトモダチだったんだ。
ほら、あそこの読書休憩室で毎日辞典を読んでいたんだって。
レシートをみせればあったかいレモネードが飲めるよ。行ってみる?
「兎夫人」は、義眼屋のお客さん。とても素晴らしい兎を飼っているらしいんだけど
残念ながらみせてもらったことは、ないんだ。
「輪っか屋さん」にも行ってみようか。勿論、ドーナツのことさ。
味は1種類しかないけど、なんであんなに美味しいんだろうねえ?
「紙店シスター」には、それはもう素敵な便箋や封筒があるんだ。
そう、レース屋さんのお姉さんなんだ。
あそこに古い絵葉書の束があるんだけど──、いや、今はいいや。
「ノブさん」は名前の通りドアノブ屋だよ。ほら、壁一面にノブがあるだろう?
で、あのライオンの形のドアノブは──、いや、やっぱりいいよ。
「勲章店の未亡人」は、店をたたまなくてよかったね。
主人はあんなに勲章と表彰式を好きだったんだもの。
レース屋さんの
「遺髪レース」をみたことある?ない?
じゃあ
「人さらいの時計」が動くのはみた?
ああ、配達屋さんが
「フォークダンス発表会」に勲章を届けに行くんだって。
もう行かなくちゃ。じゃあね──
今や大型スーパーで品物をカゴに放り込み、
まとめてレジでお会計というのが当たり前になったが
小さい頃はまだ地元の商店街というのがあった。
一軒一軒で店主に声を掛け、1つや2つだけ品を買う。
そういえば自分は豆腐屋さんに行くのが好きだった。
「キヌゴシイッチョウトガンモドキフタツ」
という呪文を丸覚えして、小さい財布を持って畦道を走る。
水桶の中から豆腐をすくって容器に入れてくれる
オッチャンの手つきが何だかミョーに神々しくて
将来は豆腐屋になりたいなどと思ったものだ。(笑)
幼稚ではあるが、あれは専門職への憧憬だったのかなと思う。
レース屋に紙屋、辞書セールスマンにドアノブ屋に軟膏屋、
実在するんだかしないんだか分からないその店主たちに
おあげさんをビニールに入れて、くるっとまわして
豆腐と一緒に新聞紙に包んでくれた豆腐屋のオッチャンを思い出す。
主人公はきっと、この商店街がとても好きだったのだ。
いや、そうと気が付いたのかもしれない。
そういうことはきっと、後から気が付くものなのだ。
あとは読んでのお楽しみだ。
自分の地元にあったのは
八百屋や肉屋、パン屋や花屋と当たり前の商店街だったのに
何故そんなことを思い出したのだろう。
けれど多分、あなたの記憶の中の商店街も
路地裏のどこかで、このさいはての商店街に繋がっている。
行けば、わかるよ。
個人評価:★★★★★
先日ツイッターのハッシュタグでこーゆーツイートをした。

そんな訳で、流しソーメンネタ。


こーゆーのが学校側からみてOKなのかどうか知らんが
先生はよく休みをつかって生徒と校外学習をしてくれた。
家に泊まりに行ったこともある。


川遊びなら近所でもばーちゃん家でもやったことあるが
ここが記憶上一番ちべたかった。

まあ最初にネタバレしてるんだからお分かりだろうが
流しソーメンを作ろうってハラだったらしい。
トラックにはちゃんと鍋もソーメンも積んであった。
つづーく。
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