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とりあえず毎日本を読んでいるので、そろそろ脳内と本棚を整理してみようというココロミ。

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羆撃ち

羆撃ち (小学館文庫)羆撃ち (小学館文庫)
久保 俊治

小学館 2012-02-03
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しばらくぶりにクマー本。
著者の久保氏は日本で唯一、否、世界でも稀有であろう羆猟師であり、
日本国内だけでなく、なんとアメリカに渡って
ハンターの学校に入学したという面白い経歴の持ち主でもある。
数ある職種の中でも、スペシャルな自伝と言っていいだろう。

先に、良書だったと言っておく。
が、例によって中身と多分関係ない感慨が残ったので
決して本書を貶めるものではないと断っておいて
感じたことをつらつらと書いていく。

この本を読みながら自分が思い出したのは、「天人五衰」と言う言葉だ。
仏教用語で、天界の者の死の直前に現れる兆しのことを言い、
京極氏の「魍魎の匣」にも出てくる言葉だ。
久保氏はご健在であるから失礼な例えになってしまうのだが、
「神が人の世に堕ちた」話を読んだような気がしたのだ。

久保氏の御尊父は、趣味で猟をされていたらしい。
それに同行するうちに久保氏は
「猟で食っていきたい」と思うようになり
20歳で必要な免許などを取得した翌年には、
一人で山に入り、ヒグマの親子を仕留めたという。

クマは通常、数人でグループを組んで仕留めることが多いと聞く。
熊谷氏の邂逅の森にもムカイマッテ・ブッパ・勢子などの役割分担があった。
が、久保氏は飛び道具こそは所持しているものの
命を張っていることに関してはクマと対等であり、
またその覚悟もあるのだと、単独での猟をポリシーにしている。

その猟の描写が余りに鮮明鮮烈で、息を呑む。

猟には、どんな痕跡も見逃さない観察眼が不可欠となる。
足跡や爪痕の上に積もった雪の微かな陰影をも見逃さず
動物の習性を考慮し、匂いや鳥の声や空気の騒めき、
何より目に映らない気配を読み、五感を張りつめねばならない。

その視界に映るものを描いた描写がまるで
コンマ送りのスローモーションを見るように、目に飛び込む。
きっとそこは静寂な雪山である筈なのに、
自然の中とはこんなに煩(うるさ)かっただろうかと思えるほどに、
読者にまでクマの小さな痕跡が、ビリビリと伝わってくる。

ライフルの衝撃で膨らんだように見えるらしいクマの最期の瞬間に
思わずほっと息を吐く。
そうしてクマが息絶える姿の描写で、雪山の静けさが戻ってくる。
聞こえる筈の無い雪の音を読み、やっとそれを思い出すような。

人ではない、なにかのようだ。
久保氏の近所の犬たちは、彼を見ると萎縮してしまうのだそうだ。
風呂に入って新しい衣服を身につけても、同じだそうだ。
また猟期が終わって街に戻ると、数日でいろんな音が五月蠅くなるという。
たまに頼まれて人と一緒にクマを駆除することもあるが、
その矜持の違いから嫌な思いをするのだとか。

物語でよく、偏屈なオッサンが山暮らしをしていたりするが(笑)
驚異的に自然に近い状態で生きていると、
本当に世界を見る目が変わるのかもしれない。
そう思う程に、久保氏の視点を通した「猟」は
人知を隔てた何者かの所業のように思えた。

本書は大きくわけると
①猟師として自立 ②渡米 ③その後 の三部構成となっている。
この渡米の辺りからその「何者か」が
少しずつ「人」へと変化していくように、自分は感じた。

ハンタースクールの話は経験として面白いし、
帰国後の「無二の相棒」である猟犬の話は胸を打つ。
だが久保氏が冒頭で「野生とは思えないクマが出没するようになった」
と書いていたのと同じく、
天人が現世で生きていくことを選んで羽を捨てたような
どこか物寂しい感慨が胸に残った。

無論、自分はクマーと対決なんぞとてもできないし
現在67才にして現役の羆撃ちというのだから、恐れ入る。
その後「情熱大陸」でドキュメンタリーをやっていたのだと知って取材を見たが
いよいよクマとの対決となった時はカメラには入らせず、
仕留めた熊の画も映さないという、
久保氏の羆撃ちとしての畏敬も十分に感じられるものだった。

だがきっと若い頃の彼は刹那、
我々の認識を遥かに凌駕した存在だったのだと、そう思う。
番組を見た人は、是非本書も読んでほしい。

天人のごときその世界を、文字から感じて欲しいと願う。

個人評価:★★★★


おかんがクマーと対決した話。(笑)





妹は自分と違って結構コワイ夢を見る。
でもあとで聞くと、どうしても笑いにしかならねぇ。





手をがっちり組み、張り合っていたそうである。(笑)



先日読んだなぜ脳は、ヘンな夢を見るのか?からすると
これもなんかの危機へのシミュレーションのハズなのだが
クマーに対してなのかおかんに対してなのか、悩むトコロである。
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