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幽霊人命救助隊

幽霊人命救助隊 (文春文庫)幽霊人命救助隊
高野 和明/文藝春秋





by G-Tools


最近薄めの本ばかりだったので
ちょっと厚い本が読みたくなって購入。
ゆっくり読むつもりが、面白くて早々に読み終えてしまった。
もったいないorz

裕一。19歳。2003年に絞首自殺。
美晴。24歳。1986年に飛び降り自殺。
市川。43歳。1988年に服毒自殺。
八木。68歳。1979年に短銃自殺。(※年齢は全て逝去時)
神が目の前に降りてきて、4人に告げる。
7週間の期限内に100人の自殺を阻止することが出来たら
お前たちを天国に行かせてやろう、と。

タイトルもそのまま過ぎてベタ凄いが
自殺と言うヘビィな題材に神までついてて、中身まで凄い。
昭和の戦前・団塊・新人類と平成っ子の
ジェネレーションギャップから軽く始まるも
所々が現実的で辛辣で、ふと胸の奥が切なくなる。

少し気になって調べてみた。
自殺の理由は一番が健康上の問題で
後は経済・生活問題、家庭問題、勤務問題が続く。
その背景としてバブルからの景気悪化、
情報や産業社会の大変革や
ストレスからの鬱病などがあげられている。
その全てが、きちんと話の中に組み込まれている。

初刊は2004年発行。
消費者金融などは法が改正されている部分もあるが
概ね、現代に通ずる。
2012年現在、年間自殺者数は
14年連続3万人を超えていると言う。

ヘビィな話だ。
だがそれでもぐいぐい惹きつけられてしまうのは
この話が社会への警告本という「上から目線」ではないからだろう。
主人公達は既に死者であり
己で奪った命の重みは、もう取り返しがつかないのだから。

神に与えられた救助道具のメガホンを持って
4人は自殺者に、懸命に語りかける。
生きろ、と。
死ぬな、と。
余りにストレートな「応援」に、なんだか泣き笑いたくなる。
きっと彼らも、そんな些細な「応援」があれば
「赤信号」を渡らなくても良かっただろうに。

 楽しい事ばかりじゃないのに
  辛い事のほうが多いのに
   生きていてくれて本当にありがとう


裕一の台詞に、思わず目頭が熱くなった。
人間は、生きているだけで大仕事だ。
大変なことがあって、当然だ。
だったらきっと、幸せな事だってある筈だ。

誰でもない貴方にも、生きていてくれてありがとう。

個人評価:★★★★
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