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とりあえず毎日本を読んでいるので、そろそろ脳内と本棚を整理してみようというココロミ。

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赤い人

新装版 赤い人 (講談社文庫)新装版 赤い人 (講談社文庫)
吉村 昭

講談社 2012-04-13
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折角暖かくなったと言うのに、なんで寒い地方の読書が続いてるんだ。
いやでもクソ寒い時に寒い描写なんか読んでたら、気が滅入るもんな。
ああ、やっぱあったかくなったんだなあ。(どういう季節感)

明治以降に始まった開拓からわずか120年で
「バカンスに一番行きたい県」にまでなった人気観光地・北海道。
人気だけでなく、農作物による食料自給率の高さは
「北海道国の建国が可能」と荒川さんが百姓貴族でネタにするほど。

百姓貴族 (3) (ウィングス・コミックス)百姓貴族 (3) (ウィングス・コミックス)
荒川 弘

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しかしネタではなく、榎本武揚は実際に倒幕後、
将軍家遺臣たちが生き残る道として蝦夷共和国を打ち立てている。
まあ実際には国家の名乗りを上げた訳ではないが、
広大な土地と豊かな資源に活路を見いだしたということだろう。
これをもう少し歴史リメイクをしたのが、北方氏の黒龍の棺だ。

無論、元々はアイヌの土地であるが
既に室町時代の辺りから、和人(日本人)が住んでいた。
これがのちの松前藩となり、要は蝦夷との貿易役だった訳だが
道南でも本当に南寄りの範囲に過ぎない。
江戸後期にやっと長万部あたりまで、和人区が拡大したようだが、
北海道の実に9割が未踏の原生林だったのだ。

これが明治になり、蝦夷の価値が注目される。
旧士族や小作農の新たな働き口として、ロシアとの国境として、
何より富国強兵への豊かな物資を求め、
蝦夷を開拓すべしと、政府は「開拓使10年計画」を決定する。

しかし国庫は豊かではなかった。
そこで考え出されたのが「囚人と言う労働力」だ。
維新後の政治犯で膨らんだ囚人で、既に本州の集治監(=刑務所)は手一杯だった。
ここに地形的な脱獄防止と労役を課せられるという利点から
新しい集治監を建設しようというのだ。

ストーリーは、鎖に繋がれた囚人たちが
東京集治監から移送されるところから始まる。
行く先は告げられず、彼らはただ戸惑う。
その内横浜から船に載せられるが、予想よりも長い船旅となる。
船酔いに苦しみながら着いた場所は、やけに寒い。

その場所は、小樽だった。
小樽から札幌へ、そして更に北方へ向かう。
視察の結果、石狩川上流の肥沃な大地が
農地を開発させるのによいだろうと決められたからだ。
で、ついでに集治監自体も囚人に建設させようって訳だ。これは酷い。

なにせ囚人だから、賃金が安く済む。
というより、多少どうにかなったところで
「囚人は囚人だ」という考えが強かったのだ。
ろくな防寒具や食事もない環境で、囚人たちはただ労役をこなす。

脱獄をすれば、深い山中で方向感覚を失うか
寒さと飢えで行き倒れてしまう。
看守に見つかれば懲罰、もしくは死が待っている。
看守も脱獄を許せば減俸処分や降格させられることになり、
貧しい北の国では死活問題となる。こちらも必死なのだ。

人間だけではない。
人跡未踏の地やマイナスを超える気候に深い雪、
ときには大量のイナゴ他の虫も彼らを苦しめる。
本書には書いてなかったが、多分クマーも出ただろう。(ふるふる)

しかし北海道開拓に囚人という労働力は、功を奏した。
こうして集治監は空知(富良野のあたり)・釧路・網走に増設されることになる。
道北・道東・道央・道南それぞれに置かれた囚人たちは
農地開拓、石炭や硫黄の鉱山発掘に従事する。

なかでもすごいのが、道路の建設だ。
これも百姓貴族を読んでもらうと分かるが
現代の重機を使っても開拓は骨の折れる仕事だというのに
これを人力で進むというのだから言葉もない。

それぞれの地点から競わせるように山を切り開き、道を繋ぐ。
無論そこには多大な犠牲もあった。
誰かを主役にすれば壮大なドラマか社会風刺になりそうなところを
ただ淡々と事実と数字を述べていく。
惜しい気もするし、そこが吉村作品たる所以なのだろうなあとも思う。

数年前にレンタカーで、札幌空港から道央を通って
釧路空港から帰ると言うドライブをしたことがある。
今思えば、丁度そうして切り開いた道だったのかと思う。
360度パノラマで見渡せる風景に感動したものだが
たった100年前には奥深い山の中だったのかと思うと、感慨深い。

小説とすると少し起伏が物足りないが、考えさせられる内容ではある。
刑務所が罪を更生させる場所ではなく、重労役を課すべき場所だったのだ。
文化国を目指していたが故に、人権に背を向けていた日本もまた
まだまだ開拓途中の国家であったのだ───、と。

小説の中の看守や上層部の政策からは
憲兵と言われていた権力時代の空気が強く匂う。
今でこそ艦隊を並べてカレーを作るような平和な日本だが(笑)
一歩間違えば、国家は誰もその進路が奇妙に曲がっていることに
気が付かぬまま前進していることがあるのだと
そんな事をうすら寒く思った。

ちなみに「赤い人」とは当時の囚人服の色だ。
逃走時にも目立つように、上から下まで朱色であったらしい。
しかしここに「人」とあるのは
人以下の扱い受けた彼らの業への、せめてもの餞なのかもしれない。

個人評価:★★★


ちなみに監獄っていうと、明治村内の金沢監獄と
アメリカのアルカトラズ島を見たことを思い出す。

しかしなんであれ、日本は蝋人形をおくんだろうね。
リアルを追求しようとして失敗する例だと思うんだけど。


前回の続き。真面目な評の後でも、アホな漫画つけちゃうよ。。







いやもうマジだって。手振るんだって。友人が
「お前絶対ハナシ盛ってるわ!!」って言ってたけど、マジだって!!





実はオマエ楽しんだんじゃないのってのは言わない約束。
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