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とりあえず毎日本を読んでいるので、そろそろ脳内と本棚を整理してみようというココロミ。

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華岡青洲の妻

華岡青洲の妻 (新潮文庫)華岡青洲の妻 (新潮文庫)
有吉 佐和子

新潮社 1970-02-03
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─────華岡青洲。
世界初の全身麻酔の手術をした外科医であり、
(※記録上であり、中国の華佗などが既に手術をしたと言われる)
つまりは麻酔の処方箋を最初に作った人物でもある。

外科手術はそれ以前にもあった。
佐藤泰然という外科医(※今の順天堂大学の始祖)が
腹を割いて患部を取り出すという、当時では最高基準の治療を行っている。
蛇足だが佐藤泰然の曾孫が、後に森鴎外の妻となる。

が、この頃は麻酔と言うものがない。
つまりは意識のある体にぶっすりメスを刺す訳だ。
考えただけでも痛々しい。
今現在、数を数えている内に意識がなくなり
目覚めたらもう病室だった、なんて手術が受けられるのは
まさに青洲の存在があってこそなのだ。

青洲が用いたのは「チョウセンアサガオ」。
園芸では「ダチュラ」と言われる。
かつてはオウム真理教の一件で悪名高き植物となり、
他に「キチガイナスビ」という別称もある。
要は幻覚や酩酊感をもたらすドラッグの一種な訳だ。

しかし薬は一歩間違えば、死に繋がる毒薬ともなる。
故に新薬開発には臨床試験が必要となる。
当然青洲も何度も犬猫で麻酔を試したが
体重も全然違う人間には投与する量も変わるから、臨試は不可欠だ。
本訴はタイトル通り本、青洲でなく妻が
麻酔の実験体となった史実を描いた小説となる。

これに女性ならではとでも言おうか、
嫁姑という要素をプラスしたところが、有吉さんならではの手腕だろう。
当時の日本の医学はまだ漢方どころか
神仏にすがっていたレベルも多くあった。

オマケにこの時代の麻酔は、効きはじめるのにも数時間を要し
覚めるのにも数日かかるというアナログなシロモノだったのだ。
幾ら夫のためとはいえ、「生きながら痛みを感じない」という概念は
得体が知れなかったに違いない。
その恐怖を克服したのが「姑への意地」という解釈が、女性的で非常に面白い。

嫁姑問題は恐らく有吉さんの創作であろうが、
長きに渡るこの因縁(笑)を考えれば、あったとしても頷いてしまう。
医学の進歩と言う正道に敢えてそんな下世話さを含めたことも
むしろ本書を有名な歴史作品とした所以と思う。

がこの読後感は個人的に、天地明察に非常に似ている。
フルコースで言えば先付・椀物・向付・鉢魚…と
とっときの題材で非常に美味しく食べられたのだが
最後の水菓子が慌ただしく、無難に〆られてしまった印象。

歴史小説は、史実と創作の配合が難しい。
司馬先生くらいになると、嘘から実も飛び出さんイキオイだが(笑)
余り突飛な事をすると、時代考証という難癖がついてしまう。
自分もマァ気にはする方だが、ここまで美味しい題材だと
もう一味突き抜けてもよかったのにな、と思ったりもする。

だが歴史風味は十分に出されており、
また和歌山の方言が随所で「女性の戦い」を
盛り上げる小道具として生きている。

歴史と女性ホラー(笑)の両方を愉しみたい方、どうじょ。

個人評価:★★★★


が、この頃の日本は鎖国の真っただ中だ。
公式の記録として青洲が初の麻酔手術を行ったのは事実だが
惜しいコトに、この技術が日本から世界に発信された訳ではない。

同じころ、ヨーロッパでは阿片やエーテルから
麻酔成分を抽出する研究が進んでいたらしい。
結局は青洲から40年ほど経って
アメリカ医療で「麻酔手術」というものがなされるようになったとか。
日本が鎖国をしていなければ青洲は
「麻酔の父」とでも呼ばれる人物になっていたかもよ。

後輩に麻酔医をしている人物がいる。
今はまた復帰したが、一時ストレスで休職していたことがある。
現代でもそうなのだから、今から100年以上前に麻酔を作り、
扱ってたのはスゲーことなのだと思うの。


麻酔の思い出(?)

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患部の場所が悪いのか、結構大袈裟な処置をされてしまうことになる。
初夏あたりだったと思うが
朝に包帯換えても、夕方には腐ってやがるっていうか。

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この事が麻酔手術に繋がることとなる。続く。
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