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グレート・ギャツビー

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)
スコット フィッツジェラルド Francis Scott Fitzgerald

中央公論新社 2006-11
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※多少内容に触れているので、映画を見る人はご注意ください。

アメリカの代表文学ともされる「The Great Gatsby」。
幾度となく映画化もされ、「華麗なるギャツビー」のタイトルで
今回はディカプリオが、主人公・ギャツビーとなっている。

物語はニックと言う、ごく真面目に生きる青年視点で語られる。
ニューヨーク郊外、湾に突き出した2つの半島。
イーストエッグ高級住宅街に対峙する様に浮かぶウェストエッグで
彼は80ドルの借家に住んでいる。

隣にはとてつもない豪奢な屋敷があり、毎夜パーティが開かれる。
その家主こそがギャツビーだ。
何故かニックに近づくギャツビー。
彼の腹には、数年越しのある計画があったのだ。

贅を尽くした連夜の酒宴の脇で影のように立ち
端正な容貌と、柔らかな物腰。そして巨大な富を持つ男。
その男がみた「夢」は、余りに大胆で無謀で
同時にささやかで、取るに足らぬものだった───────。

よく「アメリカンドリーム」などと言われるが
少なくとも映画や小説の中では、アメリカ的だなあと思う。
開拓と言う歴史から始まった彼らの生き方には
自分の腕でのし上がることが美学であり、ポリシーでもあるのだろう。

そんなライトさとしたたかな強さの中に
純情さというペーソスを上手く練りこんだあたりが
この国で愛される作品となった一因だろうか、と思ったりする。

だがこの純情さがまた「アメリカ的」であると思う。
ギャツビーの夢は「一人の女性」なのだが
日本ならこの3倍は「耐え忍ぶ純愛」要素とか
「偏屈的ぼっち」要素が追加されそうな気がする。
きっとそれらは向こうにとっては「現実的でない」のだろう。(笑)

ところでこの作品は、情景描写や比喩的な物言いが酷く多い。
それに回りくどさを感じないでもないが
ある意味、想像の余地をふんだんに与えられる形となっている。

自分としては、不倫にも近い彼の純愛は
このストーリーの「表の顔」であるように思った。
冒頭文でニックが小さい頃から
父親に「見せかけだけで物を判断するな」と言われていた通り
個性豊かなキャラと、浅くも深くも見える湖のようなテーマは
議論好きのアメリカ人が、心ゆくまで語れる仕様になっているのではないだろうか。

ニック親子とギャツビー親子の対比も面白そうだし
彼らそれぞれの恋愛観も興味深いかもしれない。
ギャツビーの愛とトムの愛に、違いはあるだろうか。
ニックとギャツビーの関係を、友と呼んでいいのだろうか。
ニックは最後に、ギャツビーと言う男をどう判断したのだろうか。

そう考えると、さまざまな本で引用されたり
何度も映画化される理由もなんとなく、理解できる気がするのだ。
「レオ様」人気で見てみるのもいいが
ディカプリオがどう解釈して演技しているのかと言うのも
考えてみると面白いかも知れない。

見に行く予定はなかったのだが、ちょっと見てみたくなった。

個人評価:★★★


実は最初に角川文庫版を買って読み始めたのだが
自分が翻訳本に慣れていない所為もあり
これが酷く読み辛くて挫折しそうになった。
そこで本屋で村上春樹訳を見つけたので、途中からこちらに変えた。

原文を一部載せる。
great.gif

角川文庫版
「何だって蝋燭なんかつけるの?」
デイジーは眉を顰めて反対して、指でぼきぼき取ってしまった。
「もうあと二週間で、一年中で一番日が長くなるでしょう」
晴れやかな顔で、彼女は僕たちをひとりひとり見た。
「一年中で一番日が長くなる日を、何時でも待ってながら
 その時になると逃がしてしまうんじゃない?あたしって、
 何時だって一年中で一番日が長い日を待ってる癖に
 その時になると逃がしてしまうのよ」



自分でなくても訳が分からんと思うんだが、どうだろう。

村上春樹版
「どうしてキャンドルなんかつけるの?」
とデイジーが眉を潜めて言い、指で炎をつまんで消した。
「あと二週間で、一年で一番昼間の長い日が来るって言うのに」
彼女は晴れやかな顔で一同を眺めまわした。
「ねえ、夏至の日ってずっと心待ちにしているのに
 毎年何時の間にか終わってると思わない?
 私はいつも夏至の日のことを覚えておかなくちゃと思うんだけど
 気が付いたらもう過ぎちゃってるのよ」


うん、これなら分かる。

ただこれは、角川版を批判するつもりではない。
村上氏の訳文はかなり「意訳」をつけているから
著名な作家だからこそ許されるのだと思う。

「意訳」とは字の如く、意味を合わせた訳文のことだ。
本文では夏至(=Summer solstice)という単語は無いが
この方が分かりやすいから、村上氏は「夏至」という日本語を使ったのだ。
が、本来これは「原文を訳す」という作業からは微妙に離れることになる。

分かりやすい方がいいではないかと思うだろうが
逆に日本の作品が海外に渡ったときに
日本語故の曖昧な表現に、ぱきっとした英単語を割り振られたら
作品の持つ意味ががらりと変わることになる。

が、自分としては意訳を期待して村上訳を買ったので、
今回はこちらを購入してよかったと思う。
もし挫折した方がいたら、他の訳文なら好みに合うかもしれない。
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