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とりあえず毎日本を読んでいるので、そろそろ脳内と本棚を整理してみようというココロミ。

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18

蝦夷地別件 上・中・下巻

蝦夷地別件 上 (小学館文庫)蝦夷地別件
船戸 与一/小学館





by G-Tools


量的にも内容的にも、読みごたえがあった。(満足)
自分の棺桶には花でなくて好きな本を入れて欲しいと常々思うのだが
そうすると自分が入らないかもしれない。

幕府の知行地として、一方的に酷使されていた蝦夷地とアイヌ。
幾度となく繰り返されてきた反乱も
1789年のクナシリ・メナシの戦いが最後の抵抗となり
以降、アイヌ文化は縮小の一途をたどることになる。

当時の蝦夷地は、松前藩の管轄領であった。
120年前に起きた「シャクシャインの決起」で和人に敗れて以来
アイヌ達は不当な条件下に搾取・酷使され
仲間を殺され女を犯されても、ただじっと耐えていた。

アイヌ達には思惑があった。
武器さえあれば、勝てる。
そう信じて、密かにロシアの船員を通じ
ヨーロッパから鉄砲300丁を購入するよう、話をつけていたのだ。
約束したのは、救国ポーランド貴族団・マホウスキ。
彼には彼の祖国を救うため、別の思惑があった。

実際にそのような史実があるのかは不明だが
シャクシャインでは、アイヌは松前藩の鉄砲の前に敗れている。
アイヌは鉄が最大の恐怖であったと同時に
最大の反逆力になると考えていた可能性はゼロではない。
それが日本国内の話にとどまらず
ヨーロッパからの影響を含めて書かれてあり
リアルな時代背景に思わず引き込まれてしまう。

一方、蝦夷地に渡ってきた和人があった。
僧侶である洗元と清澄、そして葛西政信なる浪人者。
この二人にはまた別の思惑があるようだった。

絡み合う思惑の中、ただ座主に言われるままにここへ来た洗元と
自然と共にあるアイヌ達の純粋さが沁みる。
だがこの時既にアイヌという文化に江戸の様式が入り込んでおり
彼らはもう何かを失っていて
崩壊への一途を辿りつつあったのかもしれないと思うと、切ない。

史実を元にしているから、当然結末はハッピーエンドではない。
最後に清澄があげる読経だけが、唯一の鎮魂歌だ。

その清澄が洗元にあてた文で物語は始まり、その文で物語は締めくくられる。
その想いに、ふと胸が痛くなる。
文を受け取った洗元の胸に満ちたのは
友への懐かしさだろうか、怒りだろうか、哀れみだろうか。
それとも、もう二度と見ることのない蝦夷の風景だろうか。

幕府体制に凌辱され、侵略された蝦夷の地は
後に最後の佐幕派が潰えた場所となる。

歴史は、最強のノンフィクションだ。
1つの伏線が、現実となって後世に現れる。
事実は小説より奇なりとは、まさにこのことだと感じた作品だった。

個人評価:★★★★


ところで今回、自分の中でも発見があった。
本を読むのは好きだが、実は海外の本となるとぐっと数が少ない。
理由は、カタカナ名前が頭に入らないからである。
金太郎と金吾郎とならサクサク読めるのに
イワンコフとイワノビッチが出てきたら、ページ何度か逆戻りしてしまう。

だがアイヌのカタカナ名前は、ちゃんと脳が受理した。
更にロシアやヨーロッパ人も少しでてくるのだが
「ステファン」まではなんとか受理したものの
「クラコヴィッチ」「トレンヴィッキ」で少々危うくなり
「ニコライ・イワノヴィッチ・チュコフスキー」でアウト。(爆)
いや、少なかったから何とかいけたのだが。

ま、歴史にも自分にも再発見があったってコトで
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