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べっぴんぢごく

べっぴんぢごく (新潮文庫)べっぴんぢごく
岩井 志麻子/新潮文庫





by G-Tools


岩井さんの名を知ったのは
あのサイバラさんの漫画からである。
「お前のエロ小説は怖くてヌケねーんだよ」と言わしめた作品が
どういうものなのか気になって、2冊ほど著作を拝読している。

時代は明治も後半へ入った頃であろうか。
シヲは7歳で、物心ついた時から
母と二人で物乞いをしながら放浪していた。

シヲは母が夜な夜な、春をひさいでいるのを知っている。
張りのある豊満な乳房を惜しげなく晒し
襤褸のような着物の裾からは何時も、白く美しい右足がのぞいている。
だが左足だけは、決して見せようとしない。

間もなく母は謎の死を遂げ
シヲは土地の権力者に養女として引き取られる。
湯あみをして泥を拭ったシヲの美しさに、人々は息をのむ。
「ぼっけぇ、ぺっぴん(=すごい美人)じゃ」と。

以降、シヲの家系には美女と醜女が交互に生まれる。
六代にわたるこの因業が平成まで続くのだが
そのくだりで改めて驚く。
明治から数えて、まだ平成の世は100年余りしか経っていないのだ。
シヲはまるでその生き証人であるかのように、
その齢まで衰えぬ美しさを湛え、系譜を見届けるのである。

粘っこい岡山弁を交えながら
娘・孫・曾孫・曾曾孫の視点で幾度となく繰り返される語りと
シヲの母にまつわる左足の秘話は
時間にまで何かがねっとりと絡みつき
不快な湿気を含んだ衣類を着ているように、重い。
成程、これは確かにエロだがエロじゃない。

後味は何一つよくないが(笑)
これはこれで徹しているところに良さがある。
美の隔世遺伝という「ぢごく」が
案外あっさりしているのが、却って女性らしいなと感じた。
男性作家だったら、醜女の劣等感が3割増に書かれてしまい
怪異としての面白さが半減する気がする。

美しい祖母。醜い母。美しい娘。醜い孫。
決して分かり合えないこの連鎖は
因業が仕掛けた巧みな罠であるようにも思う。
そうして彼女達は受け入れられぬ己の半身を
因業に委ねてしまうのだ。

「女はね!結局ピー(放禁)には勝てないのよ!」(※お下劣ですいません)
みたいな志麻子流哲学が、そこにある気がする。
あくまでサイバラ漫画のイメージではあるが
正解かどうかは別として、その姿勢が貫かれている故に
ドロドロはしているのに何処か潔さすら感じる。

うん、サイバラさんが描かれるキャラは
なかなかに深かったのだな。

個人評価:★★★★


「べっぴん」とはもともとは「別品」の字を当て
「特別にいい品」のことを指していたのが
次第に美女の意味を指す「別嬪」になったとか。

関西では今でも現役の言葉だが
関東ではあんまり聞いたことないような。
若い子よりは、やや年齢高め層の用語かな。
例)「おお、おお、ともこちゃん
   しばらく見んうちに、エライべっぴんさんになって」

スケベ顔と紙一重くらいの表情で言うのがコツだ。(真顔)
単に「おおきゅうなって」とか「娘さんらしゅうなって」より
女性としての魅力に言及するのが「ぺっぴんさん」だからだ。
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