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とりあえず毎日本を読んでいるので、そろそろ脳内と本棚を整理してみようというココロミ。

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始祖鳥記

始祖鳥記 (小学館文庫)始祖鳥記
飯嶋 和一/小学館





by G-Tools


日本には、ライト兄弟やジョージ・ケイリーより早くに
空を飛んだ人物がいると言う。
残念ながら非公式ではあるのだが。

その男は、幸吉という。
幼い頃に父を亡くし、次男であった彼は傘屋へ奉公に出され
同時に弟も、表具師※の家へ養子にやられる。
(※掛け軸や屏風などの家財内装具を作る職人のこと)
だが後に、その器用さと内に秘めた危うさに
表具師は幸吉も一緒に引き取ることを決める。

幸吉の目は、いつも空に向けられていた。
海辺の町の子供たちの遊具である凧を自作し
誰よりも高く、眼にも見えないほどに高く揚げる。
そうして鳥の羽を見て、じっと何かを考えているようだった。

そうしていつしか、町には妙な噂が立つ。
夜な夜な巨大な怪鳥が現れ
「イツマデイツマデ」と啼いて舞うのだと言う。
天明の飢饉が起こった頃のことであり
御政道を批判するものに違いないと民は喝采を叫ぶが
人心を惑わす者として、捕り方達が動き出す。

全体は三部構成で、幸吉の幼少から青年期が一部になる。
ほうほうと思って読んでいると、二部からがらっと話が変わり
下総行徳の地廻り塩問屋・伊兵衛の決意から始まる。

補足。
時代背景が見えないとちょっと二部は読み辛い。
当時、幕府は物価の値段を安定させるために
直販を禁じ、必ず指定問屋を通して売買をさせていた。
こうして西から江戸に入る塩を「下り塩」
対して地元で作られたものを「地廻り塩」と呼ぶ。

塩の品質は最悪で、遠方に運ぶほど目減りがするのだが
どの国もこれを買うより仕方がない。
国の保護下で安い塩を売る「下り塩」に
「地廻り塩」は押され気味で、生活苦に喘ぐ者もいる。
伊兵衛は高品質の塩を精製し、対抗することを思いつく。

幸い塩は必須であることから、万一の不足に備えて
御用船という江戸の承認を受けて、運ぶことが許されている。
だがその廻船はほぼ指定問屋が抑えており
西からの危険な航路を渡れるフリーの廻船は、そう無い。
だが下り塩を仕入れるのでは、本末転倒だ。
以上補足。

船さえ見つかれば、と言う思いで伊兵衛は西へ発つのだが
この2部だけで1冊書けるじゃない、というくらい内容が濃い。
何でこの流れ?と思ってしまうのだが
幸吉は人心を惑わせた罪で、所払い(=追放)され
幼馴染の乗る廻船に乗り込むことで繋がる。
そうして三部は、更に後年の幸吉に話が戻る。

話は歴史に沿って丁寧に作られており、文章力も高い。
漢字率の高い文章が、改行少な目でがっつり入ってるので
1ページに物凄い読みごたえがある。

誰しも小さい頃に夢見た事があるだろう。
空を飛ぶことは、荒唐無稽で、幼くて
それでいて人間の深い場所に在る、叶わぬ願いだ。
幸吉の見た叶わぬ夢は
違う形で人の夢の輪郭線を浮かび上がらせた。

人は海で漂流すると
果てしなく続く青の色に、何時しか精神に異常来たすらしい。
だから海の男たちは、赤を好む。
己の魂に命を吹き込む為、曖昧な境界線しかない青の中に
鮮やかなその色を目に見ようとする。
幸吉の夢は、ちょうどその赤であったのだろう。

幸吉が叶わぬ夢の果てに見たものを、どうぞその目でご覧あれ。

個人評価:★★★★


ところで、今でも自分はたまーに空飛ぶ夢みる。
それも小さい頃見たのより高度があがってんだコレ。
現実みてないってことなのかしらん…。(´・ω・`)

冒険系夢で一番記憶に残ってるのは
自分の歯が全部抜けてしまい
拾おうとしたら、何者かに追いかけられて敵前逃亡。
かくして全ての歯を取り戻すために、勇者は旅に出る…!

「入れ歯クエスト」と名付けているのだが
こんなに心躍らない冒険もそうないと思う。
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