プロフィール

はるほん

Author:はるほん
とりあえず毎日本を読んでいるので、そろそろ脳内と本棚を整理してみようというココロミ。

カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2017年10月 | 11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


twitter
検索フォーム

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-

Comment

Comment Form

Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
-

Trackback

Trackback URL

1

天地明察 上・下

天地明察天地明察
冲方 丁/角川書店






by G-Tools


渋川春海という名前に、心当たりがある人は多いはずだ。

関孝和という名前にも、確かに聞き覚えがある。
日本史の教科書でも1~2行しか触れられていなかったし
テストでもせいぜい数点程度の解答にしかならなかった気がするが
よもやこんな高配点の題材になるとは
改めて歴史の面白さに目を見張る思いだった。

春海は代々の碁打ちである。
だが大の算術好きで、神道・天文・暦にも通じている。
彼の豊かな知識と旺盛な好奇心は
公家相手のおさだまりの指導碁で生涯を終えることに
漠然たる物狂おしさがあったのだ。

その頃江戸は、800年採用されていた宣明暦に狂いが生じ
新しい暦を作るプロジェクトが持ち上がっていた。
生半可な知識ではできない上に
時を刻む暦は国家や宗教という、まさに時代の流れに影響を与える。
春海に、その白羽の矢が立つ。

多趣味な春海のお蔭で、人間関係がちょっと雑多なのだが
個人的にはすべて話に上手くからんでいると思う。
碁や算術のエピソードは、彼が恵まれた知識人であるというより
ゼロからの出発であることを印象付ける。
またこの事業が、春海一人の功績でないのだと伝わる。

ゼロ地点にあった春海の背中を最初に押すのが
暦事業の中心人物である建部と伊藤だ。
おそらく現代でいう「理系男」で研究一筋馬鹿なのだが
子供のように純粋な向学心が彼ら自身を動かし
また春海の心を動かす瞬間が、読んでいて泣きそうになる。
自分がこの小説を良いと思った理由の半分以上が、ここにある。

「明察」とは、算術の正解を示す言葉だ。
壮大な天地の動きに、果たして明察はあるのか。
それとも解の無い「無術」と終るのか。

星は答えない。決して拒みもしない。
それは天地の始まりから宙(そら)にあって
ただ何者かによって解かれるのを待ち続ける
天意と言う名の設問であった。



若いころの渋川は挫折が細かに描写されているのだが
後半はややとんとん拍子に進んだ感があり
少々気になるところもなくはなかったが
飽きさせない展開続きで一気に読めた。

23年と言う歳月をかけ、天地の解を導き出した渋川春海。
記憶の片隅の1行で終わるには余りに惜しい男だ。
読んでよかった。

個人評価:★★★★
関連記事
スポンサーサイト
0

Comment

Comment Form

Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
0

Trackback

Trackback URL

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Return to Pagetop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。